新・賭博師たちの夜/タヌキの勝手でしょ
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//[[新・賭博師たちの夜/晴工雨毒]]
[[新・賭博師たちの夜/ヨットと少年]]
*タヌキの勝手でしょ [#oe02bfde]
#ref(s.jpg)
今は昔、八幡村村史に曰く
小高い丘陵に囲まれた八幡城の中央、広大な中の庭
長老の狸は、明け方、長径30尺の平原を全速横断し、方丈庵の...
代官、&ruby(むらおさ){村長};依頼の富籤の発行発売の雑事で...
当たりのない富籤をつくらされ、心底懺悔、後悔の念で疲れ切...
主催八幡宮を使った代官、&ruby(むらおさ){村長};の悪巧みは...
余はもう一度罪を拭い堕とせるかのように顔に水をたらふくか...
腰に緋を纏った村から選別された&ruby(おぼこむすめ){未通女...
そうとも、この八幡城は諸国の水を&ruby(つかさど){司};る番...
余を見もせず年老いた八幡狸は前方を走り、北の黒松の裾にか...
過日、余はあまりの被害に絶望、観念、祈願の境地に陥り
黒松の陰から瞬時こちらに見参した佐州狸に直接嘆願を決意し...
余曰く
「余人の子供を食い散らかさず、出来れば、部落の変死体やら...
長老狸は義理立てするようにしばし、松の木の先端から視線を...
濁った大きな黒眼である
しばしの沈黙が流れ、雲を抜け出た太陽が長老の背骨を照らす
「無用なり、貴様等同様、我ら一族も生きるためにやっている...
余が呆然と次の言葉を探し尋ねている間に
堅い毛の先端が黒光りのする佐州狸は黒松の陰から消えた
しばし、気と心を整え黒松の裾に近づくと首のない血だらけの...
村中、大騒ぎをさせ、偽の富籤で小銭を巻き上げられたばかり...
&ruby(ひしょう){婢妾};の生んだ子供であっため、本妻が隠し...
南天の赤い実がかいま見える糞塚も形成されている
彼らが群れをなして住み着いていることか判る
獲物は子らの待つ住処に持ち去るはずなのに何故、長老狸が、...
とうやら、彼らの獣道に誘い込まれたようである
早暁、矢のような光る目が竹林の隙間から点々と除く
余は自分の運命を知るべきだろう
事後、村人はその黒松を&ruby(ちごまつ){稚児松};と呼ぶよう...
*メモ [#j203118d]
終了行:
//[[新・賭博師たちの夜/晴工雨毒]]
[[新・賭博師たちの夜/ヨットと少年]]
*タヌキの勝手でしょ [#oe02bfde]
#ref(s.jpg)
今は昔、八幡村村史に曰く
小高い丘陵に囲まれた八幡城の中央、広大な中の庭
長老の狸は、明け方、長径30尺の平原を全速横断し、方丈庵の...
代官、&ruby(むらおさ){村長};依頼の富籤の発行発売の雑事で...
当たりのない富籤をつくらされ、心底懺悔、後悔の念で疲れ切...
主催八幡宮を使った代官、&ruby(むらおさ){村長};の悪巧みは...
余はもう一度罪を拭い堕とせるかのように顔に水をたらふくか...
腰に緋を纏った村から選別された&ruby(おぼこむすめ){未通女...
そうとも、この八幡城は諸国の水を&ruby(つかさど){司};る番...
余を見もせず年老いた八幡狸は前方を走り、北の黒松の裾にか...
過日、余はあまりの被害に絶望、観念、祈願の境地に陥り
黒松の陰から瞬時こちらに見参した佐州狸に直接嘆願を決意し...
余曰く
「余人の子供を食い散らかさず、出来れば、部落の変死体やら...
長老狸は義理立てするようにしばし、松の木の先端から視線を...
濁った大きな黒眼である
しばしの沈黙が流れ、雲を抜け出た太陽が長老の背骨を照らす
「無用なり、貴様等同様、我ら一族も生きるためにやっている...
余が呆然と次の言葉を探し尋ねている間に
堅い毛の先端が黒光りのする佐州狸は黒松の陰から消えた
しばし、気と心を整え黒松の裾に近づくと首のない血だらけの...
村中、大騒ぎをさせ、偽の富籤で小銭を巻き上げられたばかり...
&ruby(ひしょう){婢妾};の生んだ子供であっため、本妻が隠し...
南天の赤い実がかいま見える糞塚も形成されている
彼らが群れをなして住み着いていることか判る
獲物は子らの待つ住処に持ち去るはずなのに何故、長老狸が、...
とうやら、彼らの獣道に誘い込まれたようである
早暁、矢のような光る目が竹林の隙間から点々と除く
余は自分の運命を知るべきだろう
事後、村人はその黒松を&ruby(ちごまつ){稚児松};と呼ぶよう...
*メモ [#j203118d]
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